扁桃炎は風邪とよく似た症状が出る病気です。
小学校入学前の児童など、比較的子供がかかりやすい病気だと言えますが、大人でもかかるケースがあるので注意が必要です。

この病気を引き起こすのはアデノウイルスやエンテロウイルスの他、インフルエンザ菌や溶連菌など細菌が病原菌となることもあります。
放置すると合併症が出るなどして危険ですが、早期に発見すれば軽症で済むため以下で病気の予兆や初期症状について見ていくことにします。

扁桃炎の初期症状は喉がイガイガする?

まずは、扁桃炎の症状を知ることが必要です。
扁桃炎というのは、喉の入口付近にある口蓋扁桃と呼ばれる組織が炎症を起こす病気です。
口蓋扁桃というのは、舌の付け根のあたりに左右に並んで一対付いており、見た目はアーモンドのような形をしています。
この組織の中にはリンパ節が集中していて、口のなかに入ってきた細菌や異物などを見つけると、免疫系を刺激して排除するという働きを持っています。

扁桃炎にかかると、まずはこの組織が腫れて赤くなったり、イガイガした痛みや刺激感を感じるようになります。
扁桃は喉にあるのですが、風邪を引いた場合に痛みを起こすのは、咽頭と呼ばれる首の中ほどくらいの場所にある組織です。
そのため、風邪とは痛みや腫れを起こす部分が異なります。
扁桃は喉の両側に付いているため、外から見ると首回りが腫れて見えることもあります。

扁桃炎の初期症状では、この部分がまず腫れて痛むことになるのですが、痛みは比較的軽い場合もあれば、かなり強い痛みを感じることもあります。
また、喉だけでなく耳や側頭部にも痛みが広がるケースがあるので注意が必要です。
具体的には、水や食べ物を飲み込んだ時に、それが刺激となって痛みを感じることがある他、常時痛みが続くケースもあります。
ひどい場合には扁桃全体が化膿して膿を持ってしまうこともあり、この時には激痛を感じる人もいます。

感染した初期には組織の腫れも小さく、痛みも弱いのですが、放置しておくとだんだんに腫れと痛みは強くなっていきます。
ですから、自分がこの病気にかかっていると気づいた時には、なるべく早く病院を受診して治療を受けることが大切だと言えます。
炎症が進むに従って、体の免疫力も低下してくることになりますから、時間が経つと次第に痛みが増すことも特徴です。

初期症状としては、病原体となる細菌やウイルスに感染してだいたい2日から5日くらいで症状が出始めます。
ですから、喉がイガイガし始めたころにはすでに感染がある程度進んでいると考えておいたほうが良いでしょう。
この頃には、扁桃の組織全体が炎症を起こしていることになりますから、治療は炎症による痛みを抑えることが中心となってきます。

治療方法としては対処療法が中心となり、体力や免疫力を回復させるなどして一週間から十日くらい経過すると症状は良くなってきます。
しかし、溶連菌などの細菌が原因となっているケースでは、それよりも長く症状が続く場合もあります。

熱が出始めたら扁桃炎?

扁桃炎は多くの感染症と同じく、病原体に感染した初期には目に見えるような予兆が出ることはありません。
上に書いたようなイガイガする痛みが出始めたころには、すでにこの病気を発症していることになるので注意が必要です。
この段階での治療を怠ると、症状が長引いて病気が治りにくくなることになります。

喉の腫れや痛みとほぼ同時に発生するのが、発熱や倦怠感などです。
先に書いたように、扁桃は免疫系に関係している器官なので、炎症を起こすと体の免疫力も低下することになります。
発熱や倦怠感はこうしたことの影響によって起こり、場合によっては悪寒を感じたり、手足が震えるなどの症状が出ることもあります。
また、発熱とともに頭痛や頭重感を感じることもあります。

発熱すると、体温はだいたい38度くらいまで上昇します。
免疫力や体力が低下している時や、小さいお子さんなどは40度くらいまで体温が上昇してしまうケースもあるので、熱が出始めたら十分に気を付けるようにして下さい。
場合によっては、炎症によって扁桃の組織が肥大化してしまうなどの後遺症を残すこともあります。

扁桃炎を起こす病原菌としては、アデノウイルスやエンテロウイルスなどのウイルスと、黄色ぶどう球菌やインフルエンザ菌などの細菌類という二種類があるのですが、熱の出方について比べると両者の間に大きな違いはありません。
ウイルスが病原体となっている場合、症状が続く期間は細菌が原因のケースに比べると比較的短くて済みます。
しかし、発熱に関してはどちらも38度以上という高熱を出してしまうことがあるため、発病後の体調管理には注意しなくてはいけないと言えます。

体温が上がると、一般的には免疫力もアップすることになるのですが、免疫系の一つである扁桃自体が炎症を起こしていると、扁桃炎の病原体以外のウイルスや細菌に対する抵抗力も落ちてしまうことになります。
発熱がひどい時には、無理をせずに体を温かくして十分な睡眠を取ることが欠かせません。
また、食事も冷たいものよりはなるべく温かいものを取るようにしたほうが良いと言えます。

解熱鎮痛剤は熱を下げるためには有効ですが、使用し過ぎると逆に体の免疫力を下げてしまうことになるので、この点にも注意しておいたほうが良いです。
発熱が続くと、鼻や咽頭、気管などにも炎症が広がって、扁桃炎の症状に留まらず風邪などを発症してしまうケースもあります。

体の節々が痛む?

扁桃炎の中でもとくに気を付けないといけないのは、溶連菌が原因となっているケースです。
溶連菌は体のなかに棲んでいる常在菌の一種ですが、扁桃に感染すると症状が悪化しやすいだけでなく、合併症を引き起こしてしまうリスクがあります。
とくに、冬場などで口のなかや喉の粘膜が乾燥していると、こうした細菌やウイルス類に感染しやすくなるので、室内や屋外が乾燥する季節には扁桃炎の発症にも十分に気を付けたほうが良いと言えます。

扁桃炎の合併症として起きやすいのは、関節痛や体のむくみなどです。
また、皮膚にあざが出来るアレルギー性紫斑病の症状が出ることもあります。
関節痛はアデノウイルスやエンテロウイルスといったウイルスが原因となる扁桃炎でも起きますが、とくに注意したいのは溶連菌に感染してしまったケースです。
溶連菌というのは化膿レンサ球菌のことで、体の組織を破壊したり、菌自体に対する免疫反応によってアレルギー疾患を引き起こしてしまうという特徴を持っています。
また、溶連菌は活動する際に毒素を排出するので、これも病気を悪化させる一因となります。

扁桃炎との合併症では、リウマチ熱を原因とする発熱や関節痛の症状が出やすいです。
それとともに、皮膚に湿疹が出たり、皮下組織に結節が出来るといった皮膚症状を伴う場合もあります。
リウマチ熱を発症すると関節痛や皮膚炎だけでなく、筋肉や心臓など全身の組織に症状が広がる可能性があるため注意が必要です。
合併症としてアレルギー性紫斑病が起きているケースでも、皮膚症状だけでなく関節痛や腹痛の症状が出ることがあります。

さらに、溶連菌が扁桃に感染すると症状が一端治まっても菌が扁桃の組織のなかに留まってしまうことがあり、この時には再発を繰り返したり病態が慢性化してしまうことがもあります。
扁桃炎が慢性化すると関節痛や体のむくみなどの症状が長期間続くことになるので注意しましょう。

なお、溶連菌に感染しているかどうかは、病院で血液検査をしてもらい、抗体価を測ることで炎症の広がり具合を調べることが出来ます。
扁桃の痛みや腫れが治まらなかったり、関節炎の症状が続いている場合には、溶連菌感染を疑って、一度病院で血液検査をしてもらったほうが良いです。
元々アレルギー性の病気を持っている人では、関節炎や関節痛の症状が出やすいの十分に気を付けて下さい。